症例1 切除術・下口唇の外傷後変形治癒(保険診療)
40代女性の方、転倒して下唇をざっくりと切ってしまったようですが、安易に思い自宅で治療してしまったようです。
結果的に下唇にゆがみとひきつれが生じてしまいました。外傷(怪我)ですので、保険適用で診療が可能です。
写真1.術前 下唇の中心からやや左側にくぼみのように変形しています。
手術解説:瘢痕は除去しないといけませんが、下口唇の場合は唇全体の1/3まで切除が可能と言われています。(形成外科専門医試験の頻出問題でしょうね!)今回は窪んでいる帯状の瘢痕組織を切除して、正面から見えない部位に小細工(専門的にはZ-plastyZ形成)を加えます。縫合は溶ける糸で丁寧に合わせていきます。糸ですが、チクチクしないようにやさしい糸で縫合しますので、心配ありません。生活には支障がないと思います。
写真2.手術デザイン
写真は、僕の指のすぐ近くの横の点線は粘膜と皮膚を分ける境界です。重要です。そして小細工は後ろの方に設定します。
写真3.術後半年
瘢痕が少し見えるのがわかりますが、殆ど問題のないレベルです。口紅をすれば全く気が付かれないと思います。
唇の組織は非常に奇麗に治ってしまうので、このような修正が簡単と思われます。
このように、外傷(怪我)の後に起こってしまった変形は「保険診療」での対応が可能です。そもそも、この様にならないためにも、怪我をしたらお電話ください。
リスク:切除することで、痛みや出血を伴います。唇は血流が豊富ですから、出血が一番可能性があります。術後にも瘢痕が生じますが、予期せぬひきつれが生じる可能性もあります。
料金:保険診療です。